「酒」
昨日夜眠れなかったので奥さんが沖縄で買ってきた泡盛を薄めてもらって飲んだ。「飲みやすくてうめー」とかいってたら気づくと気分が…その後大変ー。飲めないのにそんな酒飲むからいかんのですな。

「TCG業界について 完結編」
前回まではTCGの歴史的背景(とはいってもせいぜい20〜30年前からのことだが)とその特徴を書いたので、現在のTCGをとりまく環境について書くことに。
 発売メーカーは主なところではk、BD、Tの三箇所。それ以外ではMとかBK(株価急騰中!?)がある。これらのメーカーはほとんどのゲームデザインを外注に出している。それだけならば特に問題はないのだが、この発注費用がかなり安いのだ。具体的な価格を書くと問題があるのでは控えるが、大体1つのエキスパンション開発にかけられる人数は2人、期間は1ヶ月といったところだろう。それ以外にテストプレイが3〜4人で何日かできるかもしれない。これは定額の分でこれ以外に売れた額に応じてロイヤリティー収入が入るはず。ただしこれは本当に小額なので考えなくてもいいくらいだ。実際に作ってみるとよくわかるがこれでは開発期間も人員も足りない。
 この構図だと確かに開発費用は抑えられるが、デザイナーにとって良いゲームをデザインする努力をするメリットはほぼないといっていい。金銭的なメリットがないのは開発費用の問題から明らかな上、著作権はデザイン会社かメーカーに抑えられている。また、メーカーはデザイナーの名前どころか外注先のデザイン会社名も公表していない場合がほとんどだ。
 
 しかしこういった状況は実はメーカーにとってもあまり良い環境とはいえない。TCGという業界だけでみるならば、どこも大差ない状況であるため横並びになるのだが、他業界(いい例えとはいいがたいがオンラインゲームとか)との競争には開発力が低下しているために当然弱くなる。
 
 それでもメーカーが現在の環境を維持していることにはいくつかの理由がある。1つは「TCGがヒットするか否かはコンテンツ力と宣伝戦略によって決定する」という認識があることだ。これはある意味正しい。TCGは発売前にゲーム内容を発表しないので、発注する店舗、問屋はコンテンツ力で初回発注数を判断するほかないからだ。
 しかし本当にそうだろうか。それはそのタイトルの初回受注数に限った話で継続的に売り上げを維持、拡大するためには、ゲームの質が求められるのではないか。確かにゲームの質が問われるのはゲームが店頭に並び、それをユーザーが買ってプレイしてみてからだ。その状況をになればメーカーとしては一定の利益は確定する。しかしそのゲームに内容がともなわなければブランドイメージに影響し、長期的には利益を出すのが難しくなっていくことになる。
 もう一つの理由はメーカー内の組織構造に起因する。メーカーはゲーム内容の開発を外注先に出すが、タイトルごとにそのスケジュール、内容などを管理する担当者がいる。漫画の編集者見たいものだと思えばいい。よくプロデューサーとかディレクターとか言われる人たちだ、ここでは仮にPDと呼ぶことにする。現在の業界構造だと、TCGが売れた場合はほぼ収入はメーカーに入り、その売れ行きによってPDはメーカー内で評価される。大ざっぱに言うと売れたら出世し、売れなければ出世できずクビになることもある。
 ゲーム内容の開発費用は基本的に「必要経費の一種」として扱われる。PD達は普通に就職活動をして採用された一般人なのでゲーム内容の評価はできない。もちろん上司にはもっとできない。当然PDは社内ではゲームに詳しくないなどとを言うはずはないので、ゲームに精通しているふりをすることになる。上司はそれを信用する。こうしてメーカー内にはゲーム内容を評価できる人材は存在しなくなる。しかし実際はゲーム内容は検討されないため、「必要経費」が安く「開発期間」を守ることが外注先に求められる条件となっている。
 これ以外にもメーカーには「ゲーム開発を自社内で行っていると見せかけたい」という思惑もあり、実際、雑誌の取材などではPDがゲームデザインをしたかのように取材に応じている場合もある。これについてはメーカーのメリットが良くわからないのだが…慣習としか言いようがない。
 問題の要点はTCGにかかわる人間それぞれにとっての利益がかみ合わないことにある。すべてを一致させるのは当然不可能だが、現状には大いに改善の余地があるといえるだろう。

 良いゲームができないのはデザイナーの努力が足りないこともあるが、こうした業界構造そのものに問題があるためだ。ゲーム開発の下請け会社は小さい会社がほとんどで経営体力もないので、この状況から自力で脱することは困難だろう。むろんこのままでも偶然やデザイナーの献身的努力、あるいはその両方によって良いゲームができることもあるだろうが、確率は低いだろう。
 
 ここまで書いておいてかなり無責任だが、現在現役のデザイナーや、デザイナー志望の学生などはゲーム開発力を身につけるだけでなく、こういった状況を打開する努力をして欲しいと思う。
 ゲーム開発力をつけるためには、たくさんのゲームをプレイすることが最も重要だ。特にドイツ製のボードゲームはお勧めといえる。また、数学、統計学、経済学、ゲーム理論あたりを広く浅くで良いので勉強すると良い。これらは主にゲームバランスや、ゲームシステムの整合性の調整に役に立つ。それ以外にも脳生理学をかじると、人間が一度に無理なく処理できるパラメーターの数などがわかる。
 TCGを作る上での具体的なテクニックなどは書けばきりがないが、非常に長くなる上にそれほど需要があるとは思えないのでここでは書かない。次の仕事はゲーム開発には関係ないので思い切って割と過激な内容を書いたが、削除依頼などはメールでよろ。
 
******************************************* 
 ゲームを作ってる人や会社でなぜかこれを見て手伝って欲しいと思った奇特な方は連絡をいただければ検討します。お金は取りませんw

コメント