なんとなく引用

2006年11月15日
山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。

***************************************************
夏目漱石「草枕」の書き出しです。
小説初期のころの文学ってあまり好きではないんです。
でもたまに気に入るのもあって、これもそのうちの一つです。そういうのが見つかるだけでもまあ学校で勉強ってやつをやった意味もあったのかな、と思います。冒頭部分の文章は最近の小説より昔のものの方がいいような…
で、突然こんなのを引用して「なんかあったのか!」というと特にないんですけども。

コメント